1:2013/12/08(日) 10:21:36.39 ID:
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かつては――いやつい最近まで――、人生の成功は大都市に、首都に、東京にこそある、と考えられていた。
少なくとも、1980年代までは、このような意識が主流だった。若者は地方から東京に出て、
つまり東京の大学に進学したり、東京で職業を得たりして、自己実現を目指したのだ。人々は可能な限り、
東京で出世し、そこで恋愛して家族をもち、そして、東京の郊外に家をもつことを目指した。
 だが、東京や大都市のこうした求心力は、20世紀から21世紀への曲がり角を経た頃から、急速に衰えてきた。
若者たちは、地元にとどまり、あるいは地元にもどり、生活したり、仕事をしたりするようになったのだ。
 このような地元志向の若者たち、つまり「地方にこもる若者たち」について社会学的に考察したのが、本書である。
著者の阿部真大は、現在30代後半の社会学者なので、こうした地元志向が強くなる少し前に、大学を卒業した世代にあたる。
 本書の前半でまず、阿部は、岡山県近郊で自ら行ったフィールドワークをもとに、若者たちの地元志向の
実態を報告している。後半では、そうした地元志向の歴史的な――と言っても30年ほど前からだから
それほど深い過去にはさかのぼらない――背景が探られ、最後にこうした若者たちの近未来が展望される。
学術的な実証研究をもとにした書物だが、文章も語彙(ごい)も、そして使われている論理の筋もきわめて平易で、明快である。

*そこそこパラダイス
 「地元にもどる」とか「地方にこもる」と言うとき、「地元」「地方」といった語によって現在の若者たちが指示している対象、
こうした語によってイメージされている社会の実態は、かつて「東京志向」が主流だったときに前提となっていた
「地方/東京」「田舎/都会」の二項対立の中で指し示されている地方・故郷・田舎とは、まったく違っている。
このことが、本書の前半である「現在篇」によって明確に示される。
人生の理想は東京で実現すると信じていたかつての若者が、それでも、故郷や田舎に帰ってくるのは、そこに
東京では得られなかった濃密な共同性や愛すべき自然環境があると見なした場合である。
 ところが、阿部が大学生たちに、「地元と聞いて思い出すものは何ですか?」という

つづく
http://book.asahi.com/ebook/master/2013120500005.html

【地方の若者、上京せず地元にこもる傾向が強まる    諸悪の根源は「イオンモール」か】の続きを読む